,5月例会 講演レポート | - 2009/05/19
- ■ 名古屋経営研究会通信 2009/5/16
■■ 5月例会 講演レポート ■■■ テーマ 「名古屋COP10成功に向けて ■■■■ −経済・社会・環境のバランスを目指して−」 ■■■■ 講師 名古屋市立大学大学院 ■■■■ 経済学研究科准教授 香坂 玲(りょう)氏 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 開催日 平成21年5月18日(月) 会場 ローズコートホテル
■■生物多様性がなぜ必要なのか■■
生物多様性が必要な理由は3つです。
●私たちの生活を便利にしてくれている。 豊かな選択肢を提供してくれている。
個人のレベルが考えると、 もし世界に魚が一種類しかいないとしたら スキューバダイビングを楽しむことはできません。 世界に針葉樹だけしかなかったら、もみじ狩は難しいわけです。
蜂がいなくなって困るのは、 蜂蜜が取れなくなるということだけではありません。 私たちの野菜や柑橘類などは蜂が受粉してくれるお陰です。
●私たちの子供や孫も同じような選択肢を享受していくためにも、 存続させていくということが必要になってくる。
これは、生き物を博物館の標本として受け継ぐのではなく、 いろんな生き物が生きていた地域の文化とか、 場所というものを次の世代に受け継ぐ必要があります。
●私たち哺乳類を含めて、 生き物というのは多様性を確保するという方向で 進化してきている。
なぜ多様性を確保するのかというと、 例えば、気温が変化する、 病気が流行るといったショックがあったときに、 みな一緒だと全滅してしまうことがあるからです。
そういうリスクを分散させる役目があります。
生物多様性と私たちの経済活動との関わりとして、 バイオミメティックス(生態模倣)があります
自然界にあって、 特殊な機能をもっているものを参考にしながら、 自分たちの製品や生活に役立てていこうというものが バイオミメティックス(生態模倣)です。
どうやったら早く泳げる水着を作れるのかというのは 北京オリンピックで大きなテーマでした。
そこで水着のメーカーでは、 速く泳げる魚の表面を見てみようじゃないかということに なったわけです。
■■COPとは、なにか■■
生物多様性条約、これを英語で略してCBD (Convention on Biological Diversity)。 もうひとつの用語としてCOP(締約国会議)があります。
これは、ある条約に参加している国が集まる会議 ということです。
例えば、 生物多様性のCOP第10回の会議であれば、 私たちは、略して「COP10」といっています。
この会議では、全員が自由に発言をします。 しかも、 全員が「それなら一緒にやります」というところまで 話を続けます。 多数決をとることはできません。
なぜなら、 自分の国の中にある資源はその国がどう使うかを決めていい という原則があるからです。 他国に対して、 資源の使い方を強制することはできないのです。
生物多様性条約の目的は3つあります。
●保全 生きている生き物を、生きている場所と一緒に保全する。
●持続可能であるように利用する 私たちの子供も、孫も同じような形で利用できるように 使っていく。
日本の里山や里海など、 代々に渡って上手く利用しているモデルを構築しよう というものです。
●発展途上国と先進国が、 遺伝資源とか、生物資源を使って開発した製品とか、 サービスについてお互いが納得できるような制度を作る。
生物多様性が大切なものだと知りながら、 すぐに行動ができない理由は2つあります。
1つは、 貴重な資源を守っていこうとする国と、 資源を利用し、 例えば、農作地にしたり、工場を建てたりして 先進国のような便利で豊かな生活をしたいという 国の意向があって 折り合いがつけられないということがあるからです。
2つめとしては、 南北の遺伝資源を巡った南北対立に対して、 いろんな意見があるからです。
この南北対立を解きほぐしていくために、 生物多様性条約では自主的なガイドラインというものが あります。
CSR(Corporate Social Responsibility)というのは、 持続可能な発展のための企業の社会的責任という概念です。
なぜCSRが必要なのかというと、 今は、多くの製品やサービスは いろんな企業のネットワークの中で生産されています。
どこかで不祥事とか、社会的に問題のあるものがあると、 連鎖反応でそこに属しているネットワーク全体が 影響を受けてしまうということになります。
今後、CSR生物多様性というものを見ていった場合、 大事なのはわかるけれど、 どういう活動をすればいいのかということが 課題ではないかと思っています。 HP:永津彰人 ,2回 誌面を クリックしますと 拡大します
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